宮坂 鉄也&ジャンネメ(協力宣教師)

派遣国:北フランス

Profile
宮坂 鉄也
東京出身。大学の時に吉祥寺キリスト集会へ導かれる。
2010年にジュネーブの聖書学院で神学修士号取得。Mission France Pour Christ という宣教団体に所属し、2011年より北フランス、ヴァランシエンヌの教会で牧会、宣教活動を続けている。

宮坂 ジャンネメ
ドイツのババロア地方出身。父はドイツ人、母はフランス人。
17歳の時に救われる。看護学校を卒業し、看護師として働く。ジュネーブの聖書学院に在学中宮坂師と出会い結婚。長男:待希(たいき)2009年生、次男:保希(やすき) 2011年生、三男:義希(よしき) 2013年、宣教活動を続けている。

礼拝、洗礼式

「協力宣教師となって」

 ボンジュール! 北フランス、人口 4 万人ほどの町ヴァランシエンヌ(Valenciennes)で宣教活動をし、 地元の小さな教会(フランス語で)の牧師をしている宮坂鉄也です。在仏17年目、ジュネーブの聖書学院を卒業後Mission France Pour Christ という宣教団体で働いています。聖書学院在学中に出会った妻ジャンネメはドイツとフランス人のハーフ、思春期真っ只中の中学生の長男と次男、そして小学生の男の子の5人家族です。もともと母が大学でフランス文学を学び、彼女のフランス人の友達と幼少期に触れ合いながら育った私ですが、初めてのフランス在住を通じてフランスに憧れる思いより、フランス人の霊的無知、貧しさ、若者の人生に対する目的の欠如に心を強く打たれるようになりました。その「重荷」のようなものは15年以上たった今もずっと心の中に残り、私たちの働きの原動力となっています。

 振り返ると「福音こそは救いを得させる神の力だ」と(多少の若気の至りで)意気込んで始めた宣教活動でしたがいくら続けても回心者がほぼなく、改めてフランスが「霊的不毛の地」であることを経験しました。同時に自分の宣教師としての召し(calling)が果たして本物かどうかと悩むことも多々ありました。そして、神様は目に見える「成功や結果、人からの評価(successful)」ではなく、ご自身の霊によって結ばれる「実(fruitful)」、特に私たちがイエス・キリストの似姿に変えられて行くプロセスにまず焦点を当てておられることに気づかされ、この国に居続けて行く力を与えられました。また「母国語でないフランス語でメッセージをしているのですか?」とよく質問を受けますが、紆余曲折を経て何とかここまで続けてこられたのは、十年以上も前から毎回原稿をチェックしてくれている元歴史の先生、マルティンヌさんという影の助け手のおかげです。

 8年前から住んでいるここヴァランシエンヌでも、イスラム教徒、ラテンアメリカ、アフリカ出身の友人たちと神の話をすることはタブーではありません。しかし周りにいる95%のフランス人たちは、おそらく人生のうちで一度も神様のことを真剣に考えたことがないように思います。では個人主義で信仰に関心の薄い世俗化した社会にどっぷり浸かる、いわゆる「教会」に不信感を持っている彼らに福音を伝えるには、どうしたら良いのでしょうか?一つの答えは「共に生きること」にあると思います。正しい聖書理解や教義に沿った福音を宣べ伝えることはもちろん大切ですが、様々なことで揺れ動く現代社会では、福音を「受肉する」こと、「生き抜く」ことがより求められているように思います。人生の悩み、喜びを共有し、疑問を語り合いながら、人となった神、イエス様を少しずつ知り、彼と共に歩むように他人も自分も変えられて行く。そこに今日の宣教活動、共同体生活に忘れられてしまった本質があるのではないかと。

 そのために一つ気をつけていることがあります。それは「忙しすぎない牧師、教会」になることです。(こんなことを言うと非難を浴びるかもしれませんが)一人一人の賜物を見極めながらも、信者を奉仕に駆り立て過ぎない、宣教活動のための道具とみなさないようにすること。人格的な繋がりを第一にすること。また、教会のスケジュールも色々なミーティングで埋め尽くさず、必ず何もないスペースを敢えて開けておく、「少し物足りない」感覚を残しておくこと。そのスペースを神様が色々な形で満たしてくださる:お隣さんや、子供をサッカーの試合に連れて行く際に他のお父さん方とゆっくりおしゃべりする機会を与えられたり、コロナで隔離状態にあるお母さんに焼きたてのパンを届けることが出来たり、また律法的な義務からではなく心から神様との「ランデブー、待ち合わせ」(rendez-vous)である祈りの時を楽しんだり。

 最後に、こんな私たちを大事に育ててくださった父なる神様と、今回、協力宣教師になるお話をくださったアンテオケ宣教会に感謝しつつ。

自宅でのユースグループ
親友のAと
神学トレーニングクラス
クリスマス礼拝